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大学生協 東北ブロック

復興再生通信 Vol.4

被災者が伝えたいもの

岩手県大槌町は津波の被害が大きかったところで、町長以下役場職員の3分の1が犠牲になりました。去年学生と一緒に行ってきましたが、いま、町では住民団体が「被災地ツーリズム」に取り組んでいます。お客さんには企業が多いと聞いて少し驚きました。被害の様子を現地でガイドしたあと、若い社員に「あなただったらイザというときどう判断する?」とか「あなたが町長だったらどうやって復興させる?」とかテーマを立ててワークショップをやるのだそうです。いわゆるケース・メソッドを用いた企業研修です。臨場感がともなう、非常に有効な方法だと思います。

町の青年で、津波で婚約者をなくした人がガイドをしており、破壊された役場建物の前で心情を語ってくれました。婚約者は役場職員だったのですが、お年寄りを避難させようとして自分も津波に呑まれてしまいました。彼は婚約者の死を知って「ほんとに後悔した」そうです。生きているうちに「あれをしてあげたかった」「こうしておけばよかった」といった思いが次々に湧いてきて、たまらなくなったと語りました。

津波に限らず、近しい人がふいに亡くなることはしばしばあります。「だから後悔しないように、大事な人には普段から優しくしてあげてください」と、彼は私たちに言うのでした。聞きながら目頭が熱くなりました。

津波で身内をなくした人たちは、多かれ少なかれそういった悔しい思いをかかえて生きているのではないかと想像されます。被害を受けていない者は、そういった人々をどうやったら支援できるでしょうか。私は、たとえば、いま述べたような「生き残った人」の気持ちに深く共感することこそが、その出発点ではなかろうかと思います。「共感力」とでも言いましょうか。

事故や事件、災害に遭った人が、「二度とこういう思いをする人がないように」といった言葉を口にするのを、私は何となくきれいごとのように冷やかに受け取っていました。けれどもそれは人として本当に素直な気持ちなんだな、といまは思います。

災害の現場や被災者の言葉に接して「自分が変わる」こと、これが「災害に学ぶ」ことの意味だろうと思います。被災地ツーリズムに取り組んでいる人たちが求めているのは第三者の「同情」などではないはずです。

大学生協東北ブロック運営委員長 清水修二
(福島大学経済経営学部特任教授)

 UP

阪神・淡路大震災20年メモリアル 〜神戸から東北、そして未来へ〜

阪神・淡路大震災20年にあたる2015年1月17日、大学生協神戸会館において、上記表題の集会が「諸先輩方の活動を振り返り、今後の災害にどう備えるのか、災害発生時に組合員にどう伝え、組合員とともに支援の輪を広げていく(=繋げていく)のかなどを旺盛に語り合いたい」とする趣旨で開催された。70名の参加者は、大学生協連、JUONNETWORK関係者のほか、東日本大震災ボランティア参加者、住民など多彩であった。東北からは大学生協関係者4名、高橋優(岩手大学生)、及川大樹(東北大学生)、田中康治(ブロック事務局長)、板垣(筆者)と、パネリストとして星真由美さん(七ヶ浜ボランティアセンター・コーディネイター)、遊佐弘さん(東松島在住)の両名が参加している。

筆者には「東北からの報告」と題する特別報告の機会を与えて頂いた。東北地区大学生協の震災当日から復旧に至るまでの状況をDVDで紹介した後、「生協職員の手記」、「未来の大学生応援募金」、「被災地見学」、「学習支援」、「食の復興ネットワークへの協力」など、ここ4年間の活動について報告した。特に、「震災当初における被災高校に辞書、参考書を贈る活動」や「応援募金」に多大な尽力を頂いた関西地域の大学生協関係者に対する謝意を込めた。またパネルディスカッションにおいて、「岩手大学生協学生委員会の岩手沿岸被災地訪問活動」(高橋優)、「東北大学生協学生委員会の防災・減災の活動(アンケート調査、冊子(東北大生が語る3.11の教訓)の発行など)」(及川大樹)が報告され、「神戸から東北、そして未来へ繋げる活動」として参加者に大きな関心を呼んだ。さらに、引き続く懇親会では、田中事務局長が「福島大生協のボランティア活動」について報告している。このように、東北からの参加者全員が発言の機会を与えられたことは有難いことであった。

大学生協神戸会館での集会の様子

小林正美さん(JUONNETWORK副会長)が基調報告を行った。「45才だった私も65才、これから何が出来るだろうか!?問う日々。震災の年に生まれた子たちが、今、大学生となり東北への支援に向かっている。」小林さんは、震災当時、大学生協連常務理事として被災地の活動を始動された経験から語っていた。「全国から数多くの学生が結集し、地元の市民と共に数々の献身的な支援活動が行われた。そして、それからの活動が仮設学生寮の建設と運営へと繋がった。」そこから学んだこと「(1)早期の初動+現場主義+NETWORKの大切さの3つにつきる。(2)人間はこんなに素晴らしいものか!人々のたくさんの善意を感じ続けた期間であった。(3)ボランティアは、人を育てる、成長させる」。

小林さんは、「教室だけが学びと成長の場ではない。「場ときっかけ」さえあれば、人々の中で、社会の中で若者は成長するのだ。それが大切だ。」と強調した。そして、神戸での活動が、「NPO法人樹恩ネットワークの設立」や「大学生協の学びと成長の事業」へと発展したことも力説していた。そして今後への期待として、「大学生協(連合会)の貴重な位置と役割」について、以下の点を挙げた。(1)学生・若者達のパワーと全国にネットワークする存在は他にはない。そして、貴重な事業活動の実態。(2)それがキャンパス外のネットワーク(NPOやボランティア)と連携できた時、更に大きな役割を発揮することができる、と語られた。

私は、このような小林さんの報告に深い感銘と大きな希望を覚えた。参加者の多くが同様な気持ちを抱いたのではあるまいか。パネリストの発言の多くは、基調報告を掘り下げた豊かな内容であった。パネリストの内、寺尾善喜さん(大学生協阪神事業連合専務理事)と姫野恭博さん(京都教育大学生協専務理事)は阪神・淡路大震災時対応について、吉岡充代子さん(大学生協連前学生委員長)、小林亮介さん(近畿大学生)、厚木裕斗さん(近畿大学生)は東日本大震災被災地ボランティア活動について、宮城県から参加した星真由美さん、遊佐弘さんは現地の状況とボランティアの果たしている役割について述べている。会場でのフロア発言や懇親会発言においても、集会の開催趣旨を深める内容であった。そこでは、若い世代に対する期待、今後の減災・防災活動の重要性が語られた。日本生活協同組合連合会専務理事の和田寿昭さん(大学生協連専務理事在職時に東日本大震災被災地支援の始動に当たった)には、懇親会挨拶において、東北地区大学生協職員の手記「東日本大震災 −そのとき、その後、これから− 」の普及が重要であると述べて頂いた。

東北ブロックの今後の復興支援活動を勇気づける実りある集会であった。

 UP

東日本大震災復興・再生 2015 年度活動方針(ダイジェスト)

【基本方針】
<第二ステージで目指していること 2014年〜2016年へ>
  1. 東北から全国に「東日本大震災からの復興・再生の取り組みと呼びかけ」を引き続き進めます。
  2. 「人とひとのつながりをベースにしながら特に大学及び地域と協力・連携した取り組みを強めます。
<復興・再生の取り組みの推進方法>
  1. 東北ブロックをベースに「これまでも、これからも〜取り組みと情報の共有〜」を推進します。
  2. 全国・地域・取引先も含めてネットワークの再構築を行い、復興・再生の取り組みを継続して創り出します。
(1)被災地支援
【方針1】大学や地域と連携して復興・再生の取り組みを拡げよう
  1. 大学との関係促進
    1. 災害時協定をベースに大学と連携・協力した取り組みを進め、日常的な関係を引き上げましょう。
      • 学内でキーになる部署や教職員との情報交換も大事です。
      • 災害時での具体的な協力内容、避難訓練参加など会員生協の取り組み事例や情報を集約発信します。
    2. 上記との関係でも日常的な情報交換や大学の対策会議等へのオブザーバー参加も追求してみましょう。
      大学のボランティア活動への協力(広報やドリンク提供)なども位置づけましょう。
  2. みやぎ復興ネットワークとの関係促進
    1. みやぎ復興ネットワーク(現地との交流や企画)に参加し、「人とひとの関係づくり・つなげる機会」を創造し続けます。
    2. 上記をベースに「被災地の食材や商品」を円滑に取り扱えるようにします。
      野菜の栽培等の企画に学生の参加を追求します。
(2)被災地訪問
【方針2】被災地の現状を確認しながら、被災地の人々とつながりを持ち続ける
(3)被災地ボランティア(学生メンバーとともに)
【方針3】被災地の子供たちに寄り添いながら支援する学生自身の成長も目指す
  1. これまでの宮城県七ヶ浜での学習支援内容について現地との調整を行い必要な見直しをする。
  2. 食のみやぎ復興ネットワークとの関係で「企画参加・企画づくり・人とひとをつなぐ」を目指す。
(4)東日本大震災を伝える・広める
【方針4】引き続き東北から全国へ発信し続ける
  1. 東北復興・再生ニュースの発行
  2. 状況の交流→事業連合総会・活動交流会・東北ブロック報告など
(5)募金活動
【方針5】知り・知らせる・考える・そして行動へ
  1. 「未来の大学生応援募金」の継続と高校への寄贈

 UP

みやぎ被災地訪問バスツアー

2014年11月16日(日)6会員(学生15名、教員2名、生協職員4名)21名が参加して被災地訪問バスツアーが行われました。

今回の訪問では、宮城県亘理町で津波による被災農地を開墾して、そばの栽培と生産、販売に取り組んでいる「亘理そばプロジェクト」の活動との出会いがきっかけとなり、訪問当日に開催される「仙台はくさい収穫祭」に参加させていただく機会に恵まれました。さまざまな地産地消の実際を目にし、参加者が自ら包丁で白菜の収穫を体験して、被災地の復興再生の様子を実感する見学訪問となりました。

そのあと訪れた岩沼市「千年希望の丘」では、高さ10mの丘がすでに3基完成しています。押し寄せた津波の高さを実感するとともに、いざというときの避難場所でもある丘に登り、まばらとなった防潮林と間近の海を眺めました。

仙台はくさい収穫祭の様子1
仙台はくさい収穫祭の様子2
千年希望の丘

ツアーの最後は名取市閖上地区です。今回は、まず認定NPO法人地球のステージ「閖上の記憶」事務局を訪ね、映像と地図で震災時の説明をしていただきました。そのあと震災語り部ガイドの鈴木(すずき)幸恵(ゆきえ)さんに被災地域を案内していただきました。最初に訪ねた閖上中学校では、犠牲となった14名の中学生へ慰霊と献花を行いました。犠牲となった生徒の全員が、学校ではなく自宅や地域で、逃げ遅れて犠牲になったこと、正門の花壇に咲いた14本のチューリップがまるで亡くなった14名の中学生のようで、そこに慰霊碑が作られたという説明を聞きながら、亡くなった命への悲しみがこみ上げてくるようでした。中学校の校舎は今後震災遺構としては残らず、解体される予定とのことでした。その後、バスの中から旧商店街、津波の高さを知ることのできる漁港、かさ上げのモデルとなっている公民館跡地などを見学しました。神社が祀られている日和山には、津波で押し流され、山の下に横倒しになっている昭和8年三陸大津波を記録した石碑がありました。しかしその教訓は今回の津波災害には生かされませんでした。古い教訓が忘れ去られないように、そして災害には「てんでんこ(それぞれが一人でまず逃げる)」が大切だとガイドさんは話されます。ガイドさん自身もご主人と息子さんを亡くされています。「どうか命を大事にしてください」と語られる言葉の重みが、ひしひしと伝わってくる閖上の訪問でした。

「閖上の記憶」事務局
昭和8年三陸大津波を記録した石碑

 UP

食のみやぎ復興ネットワーク

2015年復興再生タスクではみやぎ生協で取組んでいる「食のみやぎ復興ネットワーク」に参加し共に活動していくことを方針に掲げました。まずは亘理被災農地をソバ畑として再生し、栽培、収穫、販売までを行う「復興亘理そば」や岩沼の被災農地で栽培されている「仙台白菜」の取組みに参加していく予定です。2014年12月大学生協仙台会館で取組んだ「復興亘理そば」の販売支援では仙台会館の職員や在仙の大学生協から126袋(252食)の予約を受け、年末に販売しました。売り上げから20,951円が「未来の大学生応援募金」に充てられました。

「食のみやぎ復興ネットワーク」とは

東日本大震災により多大な被害を受けた、宮城県内の農業・漁業関係者や食品関連業者が、互いに励まし合いながら地域復興を目指すことを目的として、2011年7月2日に結成されました。「食のみやぎ」の復興のため、つくる人と食べる人が、強い絆で、ずっとつながり続ける仕組み、それが「食のみやぎネットワーク」です。

 UP

全国から寄せられた未来の大学生応援募金

募金額は2015年2月末までの総額 1,843,606円

2014年11月〜2015年2月28日まで寄せられた募金
東北学院大生協27,105円名城大学生協14,773円
東北ブロック10,174円復興亘理そば20,951円
みやぎインカレ5,900円弘前大学生協123,270円
東北学院大生協13,924円みやぎインカレ3,700円
立命館生協321,240円龍谷大学生協25,211円
みやぎインカレ28,219円

【応援募金の目的】
  1. 被災影響の大きい高校(後援会)に大学生活ガイドブックとともに「義援金」として送ります。
  2. 被災地での「学習支援ボランティア」(東北ブロック主催)の費用に充てます。
※岩手県、宮城県、福島県を対象とします

「未来の大学生応援募金」の振込先は、次の口座にお願いします。
七十七銀行店コード 100( 普 )口座番号7983492
未来の大学生応援募金 代表:戸田 俊浩
この募金についてのお問合せは…

TEL022-717-4866(大学生協東北ブロック 事務局長:田中 康治)

<立命館生協のHPより>(2015年2月25日現在)

引き続きみなさまのご協力をどうぞよろしくお願いいたします

未来の大学生応援募金

みなさまのご協力でAPUを含む震災復興支援の各種募金額累計が650万円、「復興支援募金メニュー」が12万食を上回りました。2015年度も引き続き大学生協東北ブロックが実施している「未来の大学生応援募金」に1年間を通してとりくんでまいります。まもなく発災から4年の節目を迎えますが、引き続きみなさまのご協力をお願いいたします。

立命館生協募金額累計 653万9483円(共済金・お見舞金・家賃減額措置等は除きます)
立命館被災学生支援金送金済250万0795円
立命館災害復興支援基金(復興+R基金)送金済150万9244円
全国大学生協連学業継続支援募金送金済148万9679円
未来の大学生応援募金送金済103万9765円

 UP

2015年度の主な活動

●3月9日(月)東日本大震災から4年「メモリアル・セレモニー」(大学生協仙台会館)
●3月7日(土)宮城県七ヶ浜学習支援ボランティア(大学生協東北ブロック)
●被災地訪問の取組み
  • 6月14日(日) 「ふくしま被災地訪問」南相馬・飯館村
  • 10月11日(日) 「いわて被災地訪問」宮古・山田 (予定)
  • 11月8日(日) 「みやぎ被災地訪問」岩沼・閖上・荒浜
●「食のみやぎネットワーク」への参加
  • 「復興亘理そば」
  • 「仙台はくさい」他
●大学生協東日本大震災復興ボランティア
大学生協東日本大震災復興ボランティアポスター
  • 41ターム 2月26日(木)〜3月1日(日)
  • 42ターム 3月9日(月)〜3月12日(木)
  • 43ターム 3月12日(木)〜3月15日(日)
<活動場所と内容(現地の要請により変更の可能性あり)>
  • 宮城県宮城郡七ヶ浜町、名取市美田園地区で農地再生作業、イベント準備、当日運営など。
  • 申込みは全国大学生協連HPより応募。

 UP